お葬式に参列する時は白と黒を基調にした礼服を着用することが、日本のお葬式のマナーであることが常識とされています。
洋装である場合も和装である場合も喪に服する気持ちを黒で現し、哀悼の意をご遺族や故人に伝える意味合いがあるのです。
現在のスーツは略式になっているので、フォーマルと言ってもダークスーツを基本にして礼服である必要性もないというのが昨今の常識になりつつあります。肝要なことは個人に対する鎮魂の気持ちなのです。
春の葬儀に参列する服装
喪服は略式礼服である黒いスーツやフォーマルスーツが無難だと言われています。
色は黒で光沢感のない素材で目立たず、仕立ての良い生地でシワ感のないものが相応しいです。
上着はシングルでもダブルどちらでも着用可能で、裾がシングルのパンツを着用することが略式の礼服になります。
これらは男性の場合の基本的なルールになり、まだまだ肌寒い春には黒いオーバージャケットやコートを着ることも想定されます。室内の温かい場所ではオーバージャケットを脱ぎ、ブラックスーツだけで過ごすことが好ましいです。
女性はパンプスやストッキングは黒で統一し、アクセサリーはパールや人工パールなど派手過ぎない物を選びましょう。派手なネイルなどは葬儀という空間にはそぐわないため黒い手袋をし、お焼香の時には手袋を外すのがマナーになります。
春は寒い日もまだまだあるために、薄着の服装になる女性の場合は着丈の長いコートを着用しましょう。室内ではコートを脱ぐことが礼儀になります。
夏の葬儀に参列する服装
気温が上昇して多湿な日本の夏は、葬儀の会場でも暑いことがあります。
クーラーが効いていることが多いですが、厳しい気温であることは間違いありません。
体調を崩してしまえば参列者に迷惑がかかるだけではなく、故人を哀悼する意味でもマナーとして相応しくはありません。
夏用のフォーマルスーツはメッシュ状になっており通気性の良い生地が使われ、熱が籠りにくい形状になっております。しかし無理をせずに暑いと感じたら、ジャケットを脱いでホワイトのシャツ一枚になりましょう。これは男性も女性も共通のことです。
服装だけではなく所作や体調を管理して故人を荼毘に付すことが、葬儀に参列する意味なのです。
基本的に礼服であることは変わらず、光沢のないブラックフォーマルを着用しブラックタイをシャツの首元に巻きます。
女性は白いブラウスの上にジャケットや、ジャケットに代わる黒いカーディガンなどを着用してゆきましょう。
秋の葬儀に参列する服装
残暑の厳しい秋なのか、枯葉が散って冬がもうすぐ傍に来た晩秋であるかによって服装は変わります。
気温が30度を超えるような秋口には、夏と同じようなメッシュ地のスーツを着用するか、麻素材の天然素材のブラックフォーマルを着用するといいでしょう。気を付けたいのが光沢感のない素材を選択するということです。上着を脱ぐことを想定し、シャツは綺麗にプレスした長袖の物を着用してゆくのがベターです。
女性の場合も同様に、秋口の場合には夏場と同じ礼服で、葬儀に参列するのが良いでしょう。
繰り返しになりますが大切なことは葬儀を最後まで執り行い、故人を荼毘に付すことです。そのために体調管理に気を付けて、絶対に無理をしてはいけません。
男女共に黒か白のハンカチを持参し、汗をかいたらしっかり拭いましょう。周囲の人に不快な気持ちを抱かせないようにするのが、葬儀に参列する者のマナーになります。ストッキングや靴下は黒で統一して、靴はプレーンな黒い革靴を選びましょう。
冬の葬儀に参列する服装
日本には四季があり、夏と冬では気温が40度近く異なります。
葬儀に参列するフォーマルな礼服は、一様に一年を通じて大きく変化しないものです。
しかし夏にはメッシュ地になるように、冬は厚手のウールメルトン地を選べば防寒性は高くなります。
またどうしても寒い時には黒いベストを着用し、室外では黒いコートやマフラーで防寒しましょう。
一年を通じて礼服は目立たず、光沢感のないものを選べば失礼に当たりません。小物も合わせて選び、エナメルやスエードなどの異素材ではなく、トゥに飾りのあるウィングチップなどではなくプレートゥを着用するようにします。
女性は派手な服装は避け、髪の色が明るい場合は髪を結び帽子やベールで顔の周囲を隠すことも、故人に配慮したマナーの一つになります。
夏よりも着込むことが出来る冬の方が服装の自由度は高いですが、寒いからと言ってあまり派手な格好をしては場にそぐわないので注意が必要です。
まとめ
礼服は黒のブラックフォーマルで、靴下やストッキングは黒を選ぶことが無難な選択です。
シャツは男性なら白いプレーンな物を着用しブラックタイを閉めましょう。ベルトなども金具などがシンプルな黒いレザー、革靴はプレートゥが無難になります。
女性は黒いニットやシャツの上に黒いジャケットを着用し、小物類は派手では黒い物を選びましょう。髪はきっちりまとめ上げ、カラーが明るい場合はベールなどで頭髪を隠すなどの配慮がベターです。
四季を通じて服装に大きな変化はありませんが、礼を重んじてマナーを含めて参列することが一番大切なことになります。